高齢者虐待について

沖縄県では高齢者虐待について
死亡1件/防止法後初の確認

二〇〇六年度に県内の市町村が認知した高齢者虐待件数は百五件で、
うち虐待による死亡が一件確認された、と県高齢者福祉介護課が九日発表した。

虐待を発見した者の通告義務などを課した高齢者虐待防止法施行後、
虐待による死亡例が確認されたのは初めて。

調査では虐待を受けた高齢者(被虐待者)のうち53・9%が認知症という
結果も出ており、県は今後、認知症と虐待の関係も調査していくとのこと。
沖縄市内で男性が介護の放棄・放任の疑いで死亡した。

放尿、放便などがあり、つめや髪の毛も伸び放題で状態だったという。

虐待の種類別(複数回答)では、暴力などでけがをさせたり家に閉じ込めるなどの
「身体的虐待」が六十八件で最多。
介護を放棄する「放棄・放任」二十八件、性行為を強要する「性的虐待」一件と続く。

虐待のうち、息子による虐待が50%を配偶者14・7%、きょうだ3・9%、嫁2・9%と続いた。 介護関係の施設内で発生した虐待は三件で身体的虐待だった。

有料老人ホームでは、入所する高齢者に殴られたあとやおむつかぶれがのを
担当のケアマネジャーが発見し、虐待を県に通告。

高齢者虐待防止法施行で国は都道府県に対し、施設内で発生した虐待の報告を
義務付けている。

県はこれにたいして家族による虐待の把握を独自で実施した。
どのようにして介護者による虐待は起きるのか。
介護に詳しいオリブ山病院運営本部長代行の田頭政三郎さん(精神科医)は
「疲れ果てながらも介護する家族の姿は美徳、と考える風潮が社会に根強くある
ことが原因」とし、介護者の能力以上に介護を結果、虐待が起きると指摘する。

認知症と虐待の関係については(1)物忘れ期(2)混乱期(3)寝たきり
期―の三段階を経る症状など、「認知症そのものの知識不足が虐待につながっている」とみる。

ケアを受ければ認知症によるほとんどは消失するといわれる。

一方、認知症ケアに最適といわれるグループホームの設置が県内で進まないなど、
ケアの場が不足している。

参照:沖縄タイムス