介護保険制度を持続可能なものにするために

介護保険制度を持続可能なものにするため
 

介護保険制度を持続可能なものにするために、どのような方法がのだろうか。費用抑制の一環として厚労省が推進しているのが、最近言われている介護予防。

予防の導入で14年度までに給付費を要介護者数も40万人抑制できると見込んでいるが、財政効果については今のところ未知数といえる。

給付抑制策としては、自己負担割合(1割)の引き上げも選択肢になる。

このことについて是非が検討された。高橋秀夫・経済第三本部長は、「軽度者の生活支援を3割にするなど、サービスの種類によって自己負担を変えることは可能ではないか」と提案する。現金給付が給付の抑制につながるという考え方もある。

現金給付の給付水準が現物給付(介護サービス)より低く設定されるためで、ドイツでは、現金給付の導入が財政安定化に貢献しているといわれている。様々な選択肢が想定されるなか、財政論議を深めると同時に、「どのような介護を提供するか」という視点も欠かせない。 給付カットは制度への信頼性を揺るがす。負担増が合意を得るには、介護の質や給付の範囲を含め、安心できる制度の全体像を示していくことが求められる。


海外はどうだろうか?

日本が参考にしたドイツの介護保険制度は、若い障害者を含む全世代の介護ニーズに対応している。

半分を税で賄う日本と違い、すべて保険料だけで運営され、働いていれば10歳代からでも負担する。

また年齢にかかわらず介護サービスを提供している国としては、介護保険制度を持つオランダのほか、税で介護サービスを提供しているイギリス、スウェーデンがある。

「介護の主たる対象は高齢者だが、どの世代にも介護ニーズはあり、それは等しく保障されるべきだという社会的合意が海外ではできている。その合意が制度を支えている。『お金がないから若い人からも取る』という発想では、国民の理解は得られない」と山口県立田中耕太郎教授は話されている。


広がる民間の介護保険

介護が必要になると現金が給付され、公的介護保険の自己負担分の補てんのほか、ヘルパーの追加など、自費による介護サービスを賄うことができる。

公的介護保険で対象外の40歳未満の人にも給付される商品も多い。生命保険文化センターによると、生保が扱う介護保険の場合、2003年度に146万件だった契約件数は、05年度に203万件まで伸びている。給付内容は一時金・年金・一時金と年金の併用―の3タイプがある。

主契約に特約として付加する商品や、終身保険の保険料払い込み満了時に介護保障に移行できる商品もある。対象年齢は、15〜80歳。